さくらいろ

お正月のきぶんが ぬけてきた、ある日のことです。
しろうさぎの おとこのこが
雑木林を かけぬけていきます。
むねには、だいじそうに リボンをかけた包みを
かかえています。

やまわろ、よろこんでくれるかな。
よろこんでくれると いいな。

しろうさぎの おとこのこが、おかあさんうさぎに
やまわろのことを話しますと、おかあさんうさぎは、
やまわろのために、マフラーを編んでくれたのです。

「なにいろに しましょうか」と 聞かれて、
「ぼく、さくらいろがいいとおもう」 と
しろうさぎのおとこのこは、答えました。
「やまわろに、きっと似あうもの」

しろうさぎのおとこのこに、気がついた
やまわろが、手をふっています。

「やまわろ、これ…。もう、さむくても へいきでしょ」
やまわろの ほっぺたが、ももいろに そまりました。
「…わあ。ありがとう。ぼく、だいじにする。ずっと
ずっと ずーっと、だいじにするから」
ともだちって、おなかのなかが ほかほかする、と
やまわろは、おもいました。



* この おはなしは、「やまわろ」(1月10日) 、「知らない子」(1月15日) の 続きです*